はじめに
株には、とても多くの専門用語があります。
そのため、全部覚えようとしたら時間がいくらあっても足りません。
そこで、株の銘柄選びで特に重要な5つに絞って分かりやすく解説していきます!
この5つを覚えれば、特に長期投資の成功確率を格段に上げることができます。
このページは詳しく解説しているため、簡単に一覧表で見たい場合は下記をご覧ください。
徹底解説!成長投資枠(旧:一般NISA)の銘柄選び
用語一覧
No | 項目名 | 説明 |
1 | 配当利回り | 株価に対して何割の配当金を出しているかを表します。 計算式:1株あたり配当 ÷ 株価 × 100 |
2 | PER (株価収益率) | 収益性を表します。 計算式:株価 ÷ 1株あたり純利益額 |
3 | PBR (株価純資産倍率) | 所有する資産価値を表します。 計算式:株価 ÷ 1株あたり純資産額 |
4 | 自己資本比率 | 安定性、倒産リスクを表します。 計算式:自己資本額 ÷ 総資産 × 100 |
5 | 売上高変化率 | 業績の伸び率を表します。 計算式:(当期売上高 – 前期売上高) ÷ 前期売上高 × 100 |
配当利回り
長期投資において、配当金は最も重要なことなので確実に把握しておきましょう。
配当金とは、株を買ってくれた人にお礼として企業が毎年プレゼントしているお金のことです。
配当利回りは、株を買ってくれた人(株主)にどれくらい配当金をプレゼントするかを「%」で表します。
[ 計算式:1株あたり配当 ÷ 株価 × 100 ]
例えば株価 100円の株を1年間持っていると、株主は配当金を 10円もらえるとします。
この場合、配当利回りは 10%になります。
[ 計算式:10円 ÷ 100円 × 100 = 10% ]
全ての企業が配当金をプレゼントしているわけではありません。
そのため株価 100円の株を1年間持っていても、配当金が 0円の場合は配当利回りが 0%になります。
[ 計算式:0円 ÷ 100円 × 100 = 0% ]
なぜ長期投資では配当金が重要になるのか…
それは、株価の上がり下がりに関係なくお金がもらえるからです。
例えば、株価 100円で配当利回り 10%(配当金:10円)の株を10年間保有したとします。
その場合、10年後には合計で100円のお金をもらうことができます。
つまり、株の購入時に払ったお金を10年で回収できるということです。
[計算式:毎年10円 × 10年 = 100円]
もしかしたら10年後に株価が半分に落ちるかもしれません。
しかし既に株購入代金を回収しているため、半分の株価で売っても収支がプラスになります。
[計算式:50円(半分の株価) + 100円(10年分の配当金) = 150円]
こういった理由から、長期投資において配当金はとても重要ということになります。
具体的に配当利回りは何%が良いかは、専門家たちの中でも意見が分かれます。
私の場合は「配当利回り:4%以上」(25年で支払ったお金が回収できる) を目安にしています。
理由としては、配当金を出している企業100社以上の過去実績などから分析して、20~30年の長期投資に適した配当利回りが 4%以上となったためです。
注意点として、著しく企業の売上が低下した時などは配当金が減額もしくは無くなる場合があります。
逆に、企業の業績が上がった時などは配当金が増額(増配)されることもあります。
そのため、企業の過去実績から安定して配当金を配布しているか確認することをお勧めします。
PER(株価収益率)
その企業の収益性を表し、長期投資と短期投資の両方に用いられます。
現在の株価を、当年の予想純利益で割った値がPERになります。
[計算式:株価 ÷ 1株あたり純利益額]
純利益とは、売上から仕入や人件費など諸々の費用を引き、さらに税金なども引いて残った利益のことです。
つまり純利益は、配当金や新規事業、会社の貯金など、企業(株主)が自由に使えるお金です。
PERの例として企業の総株式数が 1,000株、1株の株価が 100円、1株あたりの純利益が 10円だとします。
その場合のPERは10倍になります。
[計算式:100円 ÷ 10円 = 10倍]
上記のケースで企業買収(全株式を購入)した場合、購入代金は 10万円、1年間の企業の総純利益は 1万円になります。
つまり、企業買収をして10年間ほど経てば合計純利益は10万円になって、購入代金 10万円を回収できる計算になります。
このことからPERは、企業買収をしたら何年後に購入代金を回収できるかを表していると考えることもできます。
[購入代金:100円 ÷ 1,000株 = 100,000円] [純利益額: 10円 ÷ 1,000株 = 10,000円]
3つの例から、PERの変化を見てみます。
・例1:1株の株価が 100円、1株あたりの純利益が 10円 → PER = 100円 ÷ 10円 = 10倍 ・例2:例1と比べて1株の株価が2倍の 200円、1株あたりの純利益は同じ 10円(株価高騰) → PER = 200円 ÷ 10円 = 20倍 ・例3:例1と比べて1株の株価は同じ 100円、1株あたりの純利益は少なく 1円(利益低下) → PER = 100円 ÷ 1円 = 100倍
上記3つの例からPERが高いほど、逆に株価に対する収益性(純利益)が小さくなることが分かります。
つまり、PERは低い方が良いということです。
PERは、上場企業の統計から15倍が一般的だといわれています。
銘柄検索の時にPER 15倍以下で検索するとたくさんの銘柄がヒットするため、私は「PER:10倍以下」で検索するようにしています。
PBR(株価純資産倍率)
純資産という観点から、株価が適正かを判断するために用いられます。
長期投資と短期投資の両方で活用されます。
現在の株価を、1株あたり純資産額で割った値がPBRになります。
[計算式:株価 ÷ 1株あたり純資産額]
会社が解散となった場合、会社が借りていたお金や貸していたお金を精算して、残った残余財産は全て株主に配られます。
多くの場合、この残余財産は純資産額に近い値になります。
株価と純資産額が同じであれば、PBRは 1倍です。
PBR 1倍は、会社が解散された時に株購入代金と同額のお金が返ってくることを意味します。
そのため、株を買うかはPBR 1倍が基準になります。
3つの例から、PBRの変化を見てみます。
・例1:1株の株価が 100円、1株あたりの純資産が 100円 → PBR = 100円 ÷ 100円 = 1倍 ・例2:例1と比べて1株の株価が2倍の 200円、1株あたりの純資産は同じ 100円(株価高騰) → PBR = 200円 ÷ 100円 = 2倍 ・例3:例1と比べて1株の株価は同じ 100円、1株あたりの純資産は少なく 1円(純資産減少) → PBR = 100円 ÷ 1円 = 100倍
上記3つの例からPBR高いほど、逆に株式に対する資産的価値が小さくなることが分かります。
つまり、PBRは低い方が良いということです。
銘柄選びの際は、PBRが 1倍以下を基準に考えると良いかと思います。
ごく稀にPBRがマイナスの銘柄がありますので、念のため「PBR:0 ~ 1倍」とマイナスを除いて検索することをオススメします。
PBRがマイナスになる原因は、債務超過で純資産額がマイナスになっている為です。
(借金がとても多く、マイナスになってしまった)
「プライム・スタンダード・グロース」の3つの市場がありますが、いずれも上場維持基準として、「純資産の額がマイナスでないこと」としています。
つまり、一定期間マイナス状態が続くと上場廃止となるため、PBRマイナス銘柄を見ることはほとんどありませんが念のため注意してください。
自己資本比率
会社が所有する全ての資産の内、純資産が占める割合を表します。
長期投資で用いられます。
[計算式:自己資本額 ÷ 総資産 × 100]
3つの例から、自己資本比率の変化を見てみます。
・例1:会社の所持金が 50円、銀行から借りたお金が 50円とします。 → 自己資本額 = 50円 + 50円 = 100円 自己資本比率 = 50円 ÷ 100円 × 100 = 50% ・例2:例1と比べて会社の所持金が2倍の 100円、銀行からの借金は同じ 50円(純資産増加) → 自己資本額 = 100円 + 50円 = 150円 自己資本比率 = 100円 ÷ 150円 × 100 = 66% ・例3:例1と比べて会社の所持金は同じ 50円、銀行からの借金が2倍の 100円(借金増加) → 自己資本額 = 50円 + 100円 = 150円 自己資本比率 = 50円 ÷ 150円 × 100 = 33%
上記3つの例から、会社のお金が多いほど自己資本比率が高くなり、借金(負債)が増えれば自己資本比率が小さくなることが分かります。
つまり、自己資本比率は高い方が良いということです。
「中小企業実態基本調査 / 令和4年確報(令和3年度決算実績) 確報」より、自己資本比率の平均は約40%です。
銘柄検索の時に自己資本比率 40%以上で検索するとたくさんの銘柄がヒットするため、私は「自己資本比率:50%以上」で検索するようにしています。
売上高変化率
売上高変化率は、サイトによっては売上高成長率とも呼ばれ、長期投資で用いられます。
[計算式:(当期売上高 - 前期売上高) ÷ 前期売上高 × 100]
前期と当期の売上高を比較し、売上の推移を表します。
3つの例から、売上高変化率を見てみます。
・例1:前期売上高が 100円、当期売上高も 100円とします。
→ 売上高変化率 = (100円 - 100円) ÷ 100 × 100 = 0%
・例2:例1と比べて前期売上高は同じ 100円、当期売上高が2倍の 200円(売上増加)
→ 売上高変化率 = (200円 - 100円) ÷ 100 × 100 = 100%
・例3:例1と比べて前期売上高は同じ 100円、当期売上高が半分の 50円(売上減少)
→ 売上高変化率 = (50円 - 100円) ÷ 100 × 100 = -50%
上記3つの例から、前期と比べて当期の方が売上高が多いとプラスになります。
逆に、前期と比べて当期の方が売上高が少ないとマイナスになります。
つまり、売上高変化率はプラスの方が良いということです。
売上高は年々増加している方が会社の将来性があるため、私は「売上高変化率:10%以上」で検索するようにしています。
さいごに
いかがでしょうか。
用語は一言一句間違えずに覚えるのではなく、なんとなく理解できればOKです!
株用語について、ここまで詳しく解説しているページは他に無いと思っています。
パッと見で基準値がわかるように「検索条件一覧」にまとめましたので、下記をご参照ください。
徹底解説!成長投資枠(旧:一般NISA)の銘柄選び
みなさまの銘柄選びのお力になれたら幸いです。
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